元子ども兵の社会復帰支援活動への寄付について

こんにちは。広報の王です。

加藤貿易では、アフリカの元子ども兵(少年兵)の社会復帰支援活動に対する寄付を行っております。

この活動は認定NPO法人テラ・ルネッサンスが行っているもので、10月14日に活動説明会「第87回 テラ・スタイル東京」がオンラインで開催されました。その活動説明会に参加しました王がその内容をご報告いたします。

(※下記の画像等は掲載許可をいただいております)

オンラインによる説明会は、なんとウガンダからの中継で、アフリカ事業コーディネーターのトシャ・マギー氏がご自身の話から活動内容やウガンダの現状などを含めてお話ししてくださり、それをラ・ルネッサンス理事長の小川真吾氏が通訳してくださるというものでした。

今回、そのトシャ・マギー氏のお話の内容をまとめましたので、ぜひご覧ください。

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トシャ・マギー 氏

テラ・ルネッサンス アフリカ事業コーディネーター。2005年にテラ・ルネッサンスと出会い、「ひとり一人に未来をつくる力がある」という理念に共鳴し、テラ・ルネッサンス ウガンダ事務所の職員となる。

小川真吾 氏

2005年より、ウガンダに駐在し元子ども兵社会復帰支援プロジェクトを実施。2011年よりテラ・ルネッサンスの理事長に就任。現在は、ウガンダ、コンゴ、ブルンジでの元子ども兵や紛争被害者の自立支援に関わりながら、理事長として、テラ・ルネッサンス全般の経営を担う。

(出典:第87回 テラ・スタイル東京 主催者チャットより)

私は7歳の時に紛争で家族も家も全て失ってしまいました。しかし今は、アフリカでよく言われる言葉「全ての出会いには意味がある」を日々実感しています。

私が子どものときに体験した紛争は恐ろしいものでした。小さな子どもが家畜のように手足を切られるという残酷なシーンは、私の目に焼き付いていて、今でも忘れることはできません。そんなひどい状況の中、なぜか一人生き延びることができた私はコンゴ、タンザニア、ウガンダなど難民として転々としました。当時の難民キャンプは必要最低限の物資を支給してくれるようなものではなく、キャンプ地での生活環境は劣悪でした。私は生きている感覚すらなく、ただ茫然とそこにいました。

そして5年間も自分を失った状態で、12歳でウガンダにたどり着いたのですが、そこで転機が訪れました。ウガンダでの路上生活では、自分の名前を呼んでもらえるようなことはなく、ストリートチルドレンとしてひとくくりにされていた状況でした。また、酔っ払いがいるような真夜中の通りで女の子が夜を明かさないといけないという状況は、とても恐ろしいものでした。だからこそ、私はそんな困難な生活から脱出しなければならないと強く思ったのです。そして、仕事を探し始め、ある家で働けることになったのですが、そこでは水をかけられたりなどさんざんな仕打ちを受けました。

そんな時に、自分自身に言い聞かせたのは、「周りが殺されてしまったのに自分だけが生き残ることができたのは何か意味があるはず」という思いでした。

そして、もっとお金を稼げば幸せになれるはずと信じて、その幸せを夢に描き、首都のカンパラに行きました。教育を受けていない状況で、どうやったらいい仕事につけるのかを考え、テレビやラジオで英語を学んだりしながら、スキルを自分で身に付けていったことで、自分の生活は安定するようになっていきました。しかし、カンパラの道路に目を向けると、そこには少し前の自分と同じような貧しい子どもたちが多くいる状況は何も変わっていませんでした。

私は、そんな子どもたちを自分で育てることを決意しました。一人で生活をする程度の稼ぎで子どもたちを養うというのは、決して豊かな生活とは言えませんでしたが、子どもたちと一緒に食事をしたり、一緒に寝起きしたりする家族のある暮らしによって、私は自分自身を取り戻すことができました。

(提供:認定NPO法人テラ・ルネッサンス)
(提供:認定NPO法人テラ・ルネッサンス)
(提供:認定NPO法人テラ・ルネッサンス)

その頃、2005年に私はテラ・ルネッサンスと出会いました。当時ウガンダの北部では、子どもたちを誘拐して兵士にしたりするような紛争が続いていたのですが、誘拐され少年兵にさせたられたりといった被害を受けた子どもたちの話を聞いてあげたり、自分自身の紛争の経験を子どもたちに話したりといった活動をし始めました。

紛争は、小さな子どもや女性たちに強く影響を及ぼします。少年だけでなく、少女も誘拐され、兵士にさせられたり性暴力を受けたりするのです。元少女兵の心のケアや社会復帰を考え、当時チャイルドマザーとも言われていた元少女兵を支援していきました。

その支援の期間は通常3年間で、最初の1年半は裁縫などの技術を教えていきます。同時に、強制的な結婚や性暴力を受けた彼女たちは心に大きなトラウマを抱えているため、グループや個別のカウンセリングも行って心のサポートもしていきます。

そして、残り後半1年半で開業支援やビジネスサポートをしていきます。最後の卒業時は皆とても幸せそうな笑顔を見せてくれます。その笑顔を見ると、これまで絶望しかなかった子どもたちが、未来への希望を描けていると誰もが想像できるはずです。

卒業後は彼女たちが自分たちで収入を得ることができるように、ミシンなどの道具を提供したりしています。また、途中で困難に出会って挫折することがないように、定期的な訪問などを行い中長期的なフォローを続けています。

私は、これまで15年間サポートし続けてきて、多くの子どもたちが経済的にも自立した生活を実現したことを見届けてきましたが、この新型コロナで状況が一変しています。

ウガンダは感染者数や死亡者数は多いわけではありませんが、社会的な活動が制限されていることで、影響を受けている人が多くいます。

そんな中でも、私たちが活動できているのは、まさにご寄付のおかげなのです。それによって新型コロナ対策の支援も行うことができています。医療体制が脆弱なウガンダでは、感染が一度拡大してしまうと、抑えることができなくなります。そのため、ロックダウンや交通機関のストップなどを政府が行うのですが、それによって多くの人々の経済活動までもがストップしてしまっている状況にあります。

ウガンダでは今、マラリアや結核などの感染症で亡くなっている人が1日で30人ほどいます。そ。また、ロックダウンによって食料価格が高騰しています。工場での仕事もできなくなっています。コロナによって自立できていた子どもたちもどんどん生活ができなくなっている状況に陥っているのが現状です。

しかし、そんな中でも、マスクを作るという仕事を生み出し、稼ぐ手段を獲得して力強く生き抜いている子どもたちもおり、希望を感じています。

新型コロナによって全世界的に大変な状況ですが、これからも私たちの活動を継続していくためにも、引き続き皆さまのご支援よろしくお願いいたします。

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1時間半ほどのお話はあっと言う間で、トシャ・マギー氏のこれまでの壮絶な人生や、現在の活動内容などを伺うことができました。

モノに恵まれ、治安に恵まれた私たちにとっては、想像を絶するような苦しい思いをしている子どもたちが今この瞬間もいるのです。

加藤貿易では、悲しみを抱えた子どもたちが一人でも多く笑顔になれるよう、今後も継続して支援を積み重ねてまいります。

 

■加藤貿易の当活動におけるSDGs目標

脆弱層にある人々への支援をおこない、平和で包摂的な社会の実現を目指しています。